第54回スワンS回顧
内ラチ沿いが「グリーンベルト」化している芝コース。
よくある話ではあるが、
開催が進むについて多数の馬が走った影響や
雨の影響などでその傾向は徐々に薄れていくのが普通である。
開催4週目ともなれば、
そのような傾向はなくなってしまうものなのだが、
今の京都・芝コースは全く関係がないらしい。
スワンSもその「グリーンベルト」を通った馬が
上位を占めた。
前半3ハロン34秒4で逃げたジョーカプチーノ。
スタートして2ハロン目に10秒8という
ラップタイムを刻んだものの、
それでもG1馬のこの馬にはマイペースと呼べるレベルの
ペースではないだろうか。
当然、逃げ馬だから、
この「グリーンベルト」を回ることが出来る。
そのせいもあって、
4コーナーから直線でも手応えが十分という状態だった。
このジョーカプチーノを離れた3番手で追走したのが
リディルだった。
この馬も枠順は1枠2番。
道中はラチ沿いの「グリーンベルト」を追走。
直線でジョーカプチーノを捕まえると
そのまま1馬身1/4差をつけて、
先頭でゴール板を駆け抜けた。
対照的だったのは海外帰りのG1馬グランプリボス。
7枠14番では馬場の内側に入りたくても
それはとても無理。
仕方がなく馬群の外を回る競馬となったが、
これではさすがに得意の末脚を発揮するのは難しい。
結局、馬群から抜け出すことが出来ずに、
7着に敗れた。
さてこの京都の芝コースだが、
11月5日(土)からはその「グリーンベルト」が仮柵で隠されて、
Bコースでレースが行われる。
これで多少傾向が変わるだろうか?
このスワンSの翌日、
30日(日)の京都5R2歳新馬戦を勝った
クロフネ産駒のマディラは馬場の中央を追い込んでの勝利。
傾向が変わる兆しがこのレースから見えているように
思えるのだが・・・。
第72回菊花賞回顧
スタート直後から行きたがる仕草を見せ、
口を割るシーンもあったオルフェーヴル。
実力的にはNO.1のこの馬でも
3000メートルという距離は未知の世界。
やはり前半は折り合い面で
池添謙一に多少の苦労があったようだ。
だがそのオルフェーヴルにとって
強い味方となったのは、
レースの流れではないだろうか。
最初の1000メートル通過は60秒6。
距離を考えれば、
これはハイペースと言ってもいいだろう。
道中のラップタイムを見ても
13秒台に落ちることは一度もなかった。
反対に11秒台となったのが3回。
ある程度、速い流れとなったのが、
オルフェーヴルにとってはプラス材料だった。
3コーナーの坂の下りで動き出し、
4コーナーでは前を行くロッカヴェラーノらを射程圏に入れ、
直線で難なく抜け出して突き放す。
まさに教科書通りの競馬だった。
直線で池添謙一が入れたステッキは一発だけ。
後はぐんぐん伸びて後続を突き放す。
ゴール板手前の50~100メートルは
池添の手が全く動かず、
「流している」かのような状態。
これで2着ウインバリアシオンの2馬身1/2差をつけ、
勝ちタイムはコースレコードと0秒1差の3分2秒8。
この馬の強さを改めて見せ付けられた結果となった。
2着のウインバリアシオンは道中最後方からのレースとなったが、
これはもう初めから2着狙いであったに違いない。
神戸新聞杯で馬体を合わせるも簡単に突き放された結果から、
安藤勝己も真っ向勝負は無理と判断したのだろう。
史上7頭目の3冠馬誕生の瞬間である。
この内容なら、
古馬相手でも互角以上のレースが出来るに違いない。
ジャパンカップか?
それとも有馬記念か?
古馬との初対決が今から楽しみである。
第14回富士S回顧
22日(土)の東京競馬場は激しい雨模様。
ダートコースはかなり脚抜きがよくなっており、
1Rの2歳未勝利戦でレコードタイムが
出るほどの状態だった。
一方の芝コースはさすがに時計がかかる状態。
特徴的だったのは
どのレースでも馬群が内ラチから
やや離れたところに出来ていた点。
馬場の内側は荒れていて、
かなり走りにくくなっていたようだ。
7頭立てだった8RのいちょうSを除いて、
この日行われた芝コースの競馬において
勝ち馬はすべて5枠よりも外の枠を引いた馬。
外を回った差し馬の台頭が目立つ1日だった。
富士Sもその傾向がはっきりと出たレース。
直線で馬群の内から手応え良く抜け出しかかったのは、
52キロを背負った良血馬ダンスファンタジアだったが、
この馬は2枠3番。
馬場の悪い内側を回らされた分、
見せ場十分ながら伸びを欠いて
再び馬群に飲み込まれることに。
恐らく良馬場だったら
違う結果となったのではないか。
勝ったエイシンアポロンは7枠13番。
道中は中団よりもやや後ろでレースを進め、
直線で馬場の中央から伸びてくる。
不良馬場で上がり3ハロン34秒8の末脚。
前走の毎日王冠では好位から粘り込むイメージだったが、
道悪で決め手を活かす競馬を見せた点には
驚かされた。
その毎日王冠からは中1週。
叩き2戦目とはいえ、
激しい叩き合いの競馬を消化した後の反動も見せず、
図太い競馬を見せた点は
この馬の成長というべきだろうか。
2009年の京王杯2歳S以来の勝ち星となったが、
まだ4歳である。
この先も活躍が見込める逸材ではないだろうか。
第16回秋華賞回顧
秋華賞当日の京都競馬場の芝コースには
ある一つの大きな特徴があった。
この日の芝コースで連対した馬は
1着馬・2着馬のどちらか一方、
あるいはその両方が4枠よりも内側の枠だったのである。
秋華賞も勝ったアヴェンチュラは2枠4番。
2着のキョウワジャンヌは1枠1番だった。
この日の芝コースは明らかに内枠有利な馬場状態だった。
今年の京都競馬場は
中京競馬場の改修工事に伴う日程変更の為に、
7月にも競馬開催が行われた。
この7月の開催における芝コースでのレースは
全てDコースで行われている。
現在はAコース。
馬場の内側は7月の開催では仮柵に保護されており、
使われていなかった。
きっとその分、
良好な状態を維持しているのだろう。
平坦小回りとなる京都・内回りコースでは、
この内外の馬場の違いは大きなポイントとなってしまう。
1番人気のホエールキャプチャは
馬群の外を回って追い込んできた。
先に抜け出したアヴェンチュラはもちろん、
2着に粘り込んだキョウワジャンヌも
内枠を引いた利を活かして
馬場の内側を回ったのに対し、
外を回ったホエールキャプチャは外を回った分だけ、
最後の伸びを欠いてしまったように思える。
ホエールキャプチャは6枠12番。
脚質的にこの枠から馬群の内側に入るのは難しいだろう。
この枠を引いた時点で運がなかったと言わざるを得ない。
勝ったアヴェンチュラと
3着のホエールキャプチャの差は0秒4。
2頭ともエリザベス女王杯に出てくるとしたら、
外回りコースに変わることで
結果も違ってくるかもしれない。
この点は覚えておいた方がいいだろう。
第59回府中牝馬S回顧
府中牝馬Sを勝ったイタリアンレッドに関しては
七夕賞、小倉記念を制して、
サマー2000シリーズを優勝した勢いを感じる勝ちっぷり、
という評価でいいのではないか?
府中では初めての参戦で、
直線の長いコース向きではない、
一瞬の脚を使うタイプではないかという評価を覆す勝利で、
エリザベス女王杯につながるもの、
と言っていいだろう。
しかし多くの人が気になったのは
勝ったイタリアンレッドではく、
14着と大敗したアパパネの方ではないだろうか。
休養明けは走らないタイプということで、
評価を下げる評論家、記者も少なくなかったが、
まさか二桁着順とは・・・、
という声がレース後に多く聞かれた。
馬体重は安田記念から4キロ増の502キロ。
グリーンチャンネルのパドック映像で見る限り、
太目が残っているようには思えなかった。
極端なイレ込みなどもなく、
それなりの仕上がりにあったようにも思えたのだが。
道中も馬群の中団を追走。
折り合い面でも問題はないように思えた。
しかし直線で全く伸びない。
馬群の中でレースが終わってしまった印象だ。
よく言われる「見せ場がない」負け方だったように思える。
G1・5勝、昨年の牝馬3冠馬アパパネは、
もう終ってしまったのか?
「これではエリザベス女王杯ではとても狙えない」
という声も聞こえる。
14着という着順を見ると、
そんな評価も納得かもしれない。
だが走破タイムをよく見て欲しい。
1分47秒8。
勝ったイタリアンレッドは1分46秒8だ。
その差は1秒。
1秒しか負けていないという見方も出来るのではないか。
休養明けは走らない馬が勝ち馬から1秒差の敗戦。
叩き台としては上々ではないだろうか?
14着という着差だけを見て、
「エリザベス女王杯は無理」という判断を下すのは
まだ早過ぎるように思える。
この1秒差は叩き良化型の3冠馬なら
十分に詰めることが可能な差ではないだろうか。
